2019年10月31日 18:07更新
高級魚のアカムツ(ノドグロ)の人工授精と人工ふ化飼育に、糸魚川市の県立海洋高校がこのほど成功し、30日、稚魚がメディアに公開された。
これが人工授精・人工ふ化飼育されたアカムツ。採卵ふ化から45日目、大きさは8㎜ほど。
取り組んだのは、県立海洋高校資源育成コースの生徒と近畿大学水産研究所だ。これまで新潟市の水族館マリンピア日本海などが成功した事はあるが、高校生が成功させたのは全国で初という。
会見で海洋高校の椎谷一幸校長は「採卵ふ化から45日間生存は高校レベルで快挙。糸魚川がアカムツの名産地になる大きな1歩が踏み出された」と語った。
今回の取組みは、今年9月、直江津沖で捕獲した成魚から150万粒の採卵に成功してはじまった。
あらかじめ用意してあった精子をその場で卵にかけ、人工授精させたという。
近畿大学家戸実験場長は「それが質の良い卵だった。これまで取れなかったが今回初めて大量にとれた」と振り返った。
150万粒のうち、海洋高校は40万粒を持ち帰り、近畿大学の指導を受けながら、飼育にあたった。
深海魚のアカムツは生態がよくわかっていないこともあり、すべてが手探りだった。水槽の海水はクーラーで冷やし4通りの水温を設定、光で刺激を与えないようにするなどして、30日目の生存率は水槽別に1%から10%だった。結果45日目で50尾の生存にこぎつけた。
生徒は「餌のやり方光の加減などちょっとしたストレスで死んでしまう。何匹も死んで悲しかったが残ってくれてうれしい。誇りに感じる」
「深いところに住んでいるので水温も低い。水温が高いと死んだり奇形がでる。成功はうれしい。糸魚川といえばアカムツといわれるほどになってほしい」と話していた。
一方、近畿大学では110万粒の卵をいわゆる海洋深層水で飼育したところ、約200尾を生存させている。
近畿大学家戸実験場長は「まだ量産まで行っていない。千、万単位で魚を育てられれば放流、養殖が実現する。近い将来、食卓に上るよう頑張る」と話していた。
海洋高校と近畿大学では来年もアカムツの採卵ふ化を実施し、飼育技術の確立を目指すことにしている。
近畿大学では、来年は体長5㎝まで育て放流を目指したいと話している。アカムツを養殖して出荷するには3年以上はかかるだろうという。
※ご覧の記事の内容は2019年10月31日(木)JCVニュースLiNKで放送予定(TV111ch)初回18:30
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