2020年08月28日 11:09更新
すべては町への恩返し!
雁木の連なりを断ちたくないと、上越市大町5丁目の旧北島仏壇店前に間口24mという巨大な雁木が建設され地域の話題になっている。完成は9月10日の予定。
雁木が作られているのは上越市大町5丁目の旧北島仏壇店の前。雁木の高さは約3m。間口は24mに及び、市内でも随一の大きさになっている。また周りの景観に配慮してこげ茶色に統一され、風通しが良いよう格子も取り付けられた。
北島仏壇店は明治8年の創業、145年続く老舗だった。しかし後継者がいないことで、5代目の北島喜司男さんが去年店を閉めた。建物はことし5月に解体されたが、北島さんは大町通りの景観を絶やしてはならないと自ら雁木の再整備を進めた。「地域に迷惑をかけたくない。もし雁木がなければ雨の日に傘が必要だったり、特に雪が降れば足元も悪い。雁木があればゴミ出しも買い物も気にせずできる。雁木だけは作ってあげないと。140年以上この場で生業をさせてもらったので、せめてもの恩返しをしなければと思って作った」と話す。
雁木は本来町家と一体のものだが、店が壊されたため、北島さんは地震にも耐えられるよう基礎工事にこだわり、かかった費用は1,000万円以上という。店舗跡地は14台分の月極駐車場となり、全スペース契約済みとのこと。
雁木の保存活用の活動をしている「越後高田・雁木ねっとわーく」の高野恒夫会長は近年、町家の取り壊しなどでいわゆる雁木の「歯抜け」が進んでいるとして、今回の雁木整備を手放しで喜んでいる。「今までの雁木の中で一番長い。これだけしっかりした雁木は他に無い。非常に太い柱でデザインがすばらしいし、最近にはない雁木と思う。雁木を保存する立場としてはうれしく思っている。北島さんは地域を良くしようとする気持ちが表れている大事な人、北島さんのような人が沢山出てきてくれたらうれしい」と話している。
北島さんは景観や通行する人の利便性だけでなく、ここを地域の憩いの場、活力の場にしたいと考えている。工夫のひとつが雁木に取り付けた掲示板。誰でもイベント情報などが掲示できる。また夏には風鈴、お祭りには幕を下げることも考えているという。北島さんは「雁木は遊び場。通行はもちろん、子どものころは色々なことして遊んだ。我々の年代が雁木に出てきて、座って休憩したり、世間話をすれば、認知予防や見守り活動にもなる。和気あいあいと過ごしてもらえれば」と話している。
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