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豪雪1か月 除雪現場からふり返る

2021年02月11日 04:00更新

先月8日からの大雪で、上越市では道路の除排雪が追いつかず市民生活に混乱を招きました。35年ぶりの大雪とはいえ、除雪の進め方を歯がゆく感じた方も多いかと思います。

一方、除雪にあたった建設業者は、幹線から枝線、歩道まで懸命の作業を続けました。今後もこうした豪雪が予想される中、除雪体制の現状や課題は何か?

県建設業協会の上越支部長を務める清水組社長の清水恵一さんに話をうかがいました。※取材は1月下旬

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清水さんは、1月8日から11日までをふり返り「雪にものすごく勢いがあった、記憶のある中でこれだけ集中的に降ったことは無い」と話します。

上越市高田地区では最大積雪量2メートル49センチを記録する豪雪となりました。県道と市道では、のべ133社の業者が630台の機械を使い、24時間体制で除雪にあたりました。降り始めてまもなく、清水さんは尋常でない雪だと気付き、行政当局に排雪場を早急に確保するべきと話したといいます。(上越市域の除雪対象は県道171㎞、市道1765㎞)

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除雪では幹線が優先され、枝線、生活道路がどうしても後回しになる一方、現場はどんな状況だったのでしょうか?

清水さんは「要員の数が早い段階で限界に達した。普通組めるローテーションが組めない、1人で担当地区の作業を最後までやっていた」と話し、次のように業界の現状を明かします。

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「マンパワー不足になることは前から指摘してきたんです。理由は、平成10年ごろから建設業の人員が減り始め、今は約3分の1しかいないこと。だからこれだけの豪雪になると地元で処理ができない。県外に応援を頼んでいた」と清水さんは淡々と話しました。

そのうえで「公共事業がある程度できあがると私らは要らないとなり、建設業が縮小する構図。それが災害のときに極端に現れて、私たちの生活が脅かされる」と。

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今回は空き家の倒壊も発生しました。なかには雪下ろしの基準である1平方メートルあたり重量420キロを下回る、275キロでつぶれた家がありました。

なぜ倒壊したのか?

清水さんは「倒れた家が築60年ほどということは、昭和30年代の建築。当時、戦後復興期で家をたくさん建て、建材が大量生産されたが、品質的に耐性が低かったかな」と話し、今後のためにも詳しく調査すべきとしました。

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一方、歴史的価値のある町家で倒壊は起きなかったことをあげ「江戸末期に多発した火災でしっかりと建て替えた町家は、大丈夫だった。ただし、降雪の周期に合わせて雪下ろし、構造的に弱い雁木は早めに下ろすなど、対応しないと保存できない。また、リユースで町家に手を入れるときは、柱を抜くなどの改築は建物に無理が生じるから注意してほしい」と話します。

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今回の豪雪では除雪が進まず、市民生活は混乱しました。マイカーを動かせず、買い物や出勤で歩く人の姿が多くありました。

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狭い枝線などでは、住民が小型除雪機を融通する場面もみられました。市によりますと、苦情電話は8,000件ほどもあったということです。

清水さんは、生活道路に入れる小型ダンプなどの機材も不足しているとして「業者が機材を抱えるのは減価償却できないから無理。行政からの貸与という形で必要な時に使えたら……」と話します。

取材中、清水さんは何度も現場要員の過労にふれました。「24時間対応でオペレーターの心がつぶれた。なかには家族生活が犠牲になるから除雪に出ないという人もあった」と明かし「今、我々の力でどこまで除雪できるのかなぁ」とつぶやきました。

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取材の最後に、縮小社会という現実が私たちの前にあるのですねと問うたところ、清水さんは「自分が子どもの頃はドカ雪が降ったら車は乗らないものでした。町家では隣の家の雪下ろしも手伝ったりした。私たち上越人にはそうした心持ちがあった。『共有する暮らし』です。これからは、雪に閉ざされても、何日間は仕方ないねと助けあう暮らし、セーフティの形を作って欲しいですね」と答えました。清水さんのメッセージは、行政だけでなく私たち市民も受け止めて『新しい知恵』を編み出すときではないでしょうか。

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