2017年11月21日 18:27更新
会見した上越市教育委員会 野澤朗教育長
上越市は、購入を目指していた上杉謙信の愛刀で国宝の太刀「山鳥毛」について21日会見を開き、購入を断念したことを発表した。教育委員会では専門家による評価額3億2,000万円を上限に所有者と交渉を進めてきたが、所有者が最終的に求めてきた金額は評価額を大きく上回るもので、折り合いがつかなかった。
国宝「山鳥毛」
教育委員会では来年夏にリニューアルオープンする総合博物館に展示しようと、岡山県の刀収集家が所有する「山鳥毛」を購入するため交渉を続けてきた。
交渉を始めたおととし9月、最初の面会では所有者から10億円を提示された。その後、専門家による鑑定で「山鳥毛」の評価額が3億2,000万円であることを受け、昨年6月、所有者に評価額を伝えた。同じく6月、所有者は予定対価3億2,000万円、譲る相手を上越市とする申し出を文化庁に提出した。また翌月に所有者と会い、購入金額は評価額以内であること、購入の予算は市議会で2回の議決が必要であることを伝えていた。
このとき、所有者からは金額に対してはっきりと理解を示す言葉はなかったものの、否定的な話はなく、教育委員会では契約できると考えていた。
しかし今年3月以降、所有者から契約金額の変更を希望するメールが数回にわたり届いた。さらに5月に所有者と面会したものの、3億2,000万円では契約できないという意思を表示されたという。8月に面会を希望するも断られ続け、ようやく今月8日に6回目の面会を果たしたが、話しの冒頭で「縁がなかった。終わりにしたい」と告げられた。
所有者は3億2,000万円に上乗せした金額を希望していて、手取りで5億円を提示したという。
教育委員会は購入を断念し、購入などにかかる費用、約3億3,000万円を減額した補正予算を来月の市議会に提出する。
「山鳥毛」の購入に向けては、募金やふるさと納税を通じて約7350万円が寄せられている。教育委員会では補正予算が議決される来月15日以降に対象の2,350人に購入を断念したことを通知し、返金する必要があるか尋ねることにしている。
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