2024年04月16日 16:06更新
診断や治療が難しく指定難病とされている「甲状腺ホルモン不応症」を研究している県立看護大学の石井角保教授が、国内最大の学会誌でこれに似た「バセドウ病」との違いなどを解説しました。石井教授は甲状腺の専門医以外の医者にもこの病気について知ってもらい適切な治療に役立ててほしいと話しています。
「甲状腺ホルモン不応症」を研究している県立看護大学の医学博士石井角保教授です。日本甲状腺学会の研究グループの委員長も務めています。
「甲状腺ホルモン不応症」はのどぼとけの下にある甲状腺でつくられるホルモンが十分に働かない生まれつきの病気で、日本ではこれまで100人ほどの報告がある国の指定難病です。同じ甲状腺の病気「バセドウ病」と似た症状が出ることもあり診断を誤り、不適切な治療が行われるケースも少なくないということです。
石井角保教授
「あまり知られていない病気のため、診断に至らないことが多かった。『バセドウ病』の治療法は確立されている、同じような治療をするとよくない影響が出てしまうことも」
画像提供:石井角保教授
石井教授が所属する研究グループは去年、世界で初めてこの病気に関する国の診断基準や診療の手引きを作成しました。そして今月、多くの内科医が所属する国内最大の学会誌「日本内科学会雑誌」で甲状腺ホルモン不応症の症状や診断の仕方などについて解説しました。
この病気は甲状腺ホルモンが多くなり、汗をかきやすくなったり疲れやすくなるなどする「バセドウ病」に似た症状が出ることもある一方で、ホルモンが働かず、汗が減り、皮膚が乾燥するなどその逆の症状がでるケースもあるということです。学会誌ではバセドウ病との見分け方のポイントや治療方針などを詳しく解説しています。
石井教授は専門外の病気を診療することが多い内科の医師にこの病気について知ってもらうことで、日常の診療に役立ててもらいたいと話しています。
石井角保教授
「一概にこういった症状が出ると言い切れないのがこの病気の特徴。何か変だと病院に行き、内科の医師が考えた結果甲状腺ホルモンにたどりつくことが考えられる。その際、可能性のひとつとしてあげてもらえるようになれば」
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