2021年06月14日 18:12更新
小川未明の童話からコロナ禍の生き方を考える講演会が14日、上越教育大学附属中学校でおこなわれました。
附属中学校の3年生は、来年の未明生誕140年を前に、その生涯や作品について学んでいます。14日はコロナ禍の現代に未明童話を読む意義について、上越教育大学の小埜裕二教授から話を聞きました。
小埜教授は、物語の裏側にあるものを意識して、自分の生き方に重ねてほしいと話しました。そのうえで、童話「山の上の木と雲の話」を紹介しました。この物語は、動けない1本の木が1回だけ会った空の雲を、いつまでも山の上で待ち続けるという内容で、コロナ禍の自粛生活と重なるということです。
小埜教授は「去年は、休校になって友達に会えずステイホームを強いられてた。この童話でも、木は雲が来るのをずっと待っている。そのような部分で、コロナ禍の自分たちを重ねて読めるのではないか」「未明童話には社会的弱者が待ち続ける話も多く、弱いものの立場に立って話を進める未明童話は、今後の社会で重要なことを教えてくれる。生徒たちには、人の気持ちを考えること、寄り添う力について考えてほしい」と話していました。
未明は子どもを感染症で亡くし、自身もスペイン風邪に苦しみ生死を彷徨いました。その作品には、今のコロナ禍に通じるものがあるといいます。
3年生の内田心桜さんは「未明は、自身の風邪や子供の病気など、悲しみや寄り添えなかった悔しさを作品に昇華させることで、人生を生き抜くことができたのだと思う。どのように感情を克服したのかを物語から読み取り、今後の生活に生かしたい」と話していました。
3年生は今月、朝読書や家庭学習の時間を使って未明の作品を読んでいます。月末には、気に入った作品を授業で紹介し合うということです。また、夏休み明けには未明ゆかりの地や人を取材し、その成果をデジタルパンフレットにまとめて配信する計画です。
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