2021年06月14日 15:52更新
佐渡市新穂地区の生椿で5日、第24回トキの放鳥の1回目が行われました。今回放鳥される17羽のうち10羽が元気に佐渡の空へと飛び立っていきました。
このトキの野外放鳥は、野生下のトキを島内に分散させる事などを目的に実施しているもので、去年9月同様、新穂地区の生椿が選ばれました。
開発や農薬の利用で餌となる生きものが減り、平地を追いやられた日本産のトキにとって、生椿は重要なえさ場となっています。この地域では、地元の「生椿の自然を守る会」の会員、高野毅さんを中心に、ビオトープが整備されるなど、積極的な保護活動が行われています。
高野さんは、旧トキ保護センターの飼育員でこの地でトキの保護を積極的に行ってきた父、故 高野 高治さんの意思を継ぎこの場所を守り続けています。
放鳥には、環境省の職員をはじめ、生椿の自然を守る会の会員や放鳥者などおよそ40人が参加しました。はじめに、高野さんは草刈りなど多くの人の協力で放鳥場所の整備ができた事に感謝しながら、トキが定着していない生椿にトキ定着への期待を膨らませました。
高野さん
「放鳥のテープカットの時には、ぜひとも『おまえたち がんばれよ』と声をかけてくださるのなら、トキたちも喜んで皆の言葉にこたえて1時間でも2時間でもここに滞在しようと思ってくれるんじゃないか」
今回、放鳥されたのは、今年の3月から訓練を行ってきた、1歳のオス3羽と2歳のメス7羽の計10羽です。トキを箱に入れて移動させて放鳥する、ハードリリース方式で行われました。
午前10時、箱を閉じていたテープが切られると、元気よくトキが生椿の空へと飛びたっていきました。
高野毅会長
「いい気候の中でのトキが飛び立っていった。生椿を眺めながら拠り所として、いつかはここに戻ってくるのかなと思う。今回は水辺づくり協議会など多くの人が力を注いでくれた。なんとかトキの聖地として守ろうという機運が盛り上がってきていることに感激している。そんなところに多くの人や子どもたちが集まり、未来を語ることもひとつの環境整備になるのではと思う」
生椿の放鳥が去年9月に引き続き、2回目になることについて、佐渡自然保護官事務所の澤栗浩明首席自然保護官は「夏と秋の放鳥でトキの行動にどのような違いがみられるか観察したい」と話しています。
今回の放鳥により島内の野生下で生息しているトキは426羽と推定されます。かつて故 高野 高治さんがトキを見つけ「あたり一面、ボタンの花が咲いたようだった」と語った、生椿。その場所に再びトキが舞い戻り定着することを関係者は願っています。
なお、9日にも7羽が順化ケージから直接野外に飛んでいくソフトリリース方式で放鳥されました。
佐渡テレビジョン
Copyright (C) 2016-2023 上越妙高タウン情報 All rights reserved.