2020年03月13日 19:37更新
14日、北陸新幹線の開業から5年を迎える。上越妙高駅の周辺には3つのホテルができ、飲食・商業の複合施設もまもなく完成するなど「まち」の姿がようやく浮かび上がってきた。関係者は「ここがゼロスタート」と話し、今後さらに地域に経済効果が波及するよう、『ゲートウェイ』地域の玄関口としての機能が求められるとしている。
上越妙高駅の駅舎を挟んで東側と西側にある約9万6,000㎡ある商業用地のうち、現在利用されている土地は7割を超え、残りの2割の土地でも利用が検討されており、9割以上で利用の目途がたっている。 なかでも顕著なのが宿泊施設の進出。おととし7月東口にオープンしたアパホテルに加え、ことし1月西口にスーパーホテルが。そして今月30日には東横インがオープンを控えている。3つのホテルの客室数を合わせると500室を超える。宿泊施設の整備が進んだことで、新幹線の開業から約1年後に営業を開始した西口の商業施設、「フルサット」でも利用者の動きに変化が見られるようになったという。
フルサットの平原匡さんは「夜、宿泊者の需要が増えた。居酒屋、お酒を提供するところで堅調に推移している。フルサットができた当時はノーゲストの日もあったが、いまは駅周辺に滞在する人が増えた。訪れた人の『何にもない感』は無くなってきたと思う」と話す。
さらに西口の2つのホテルの間には飛田観光開発が新たな複合商業施設を建設中。施設の名前は「エンジョイプラザ」。延床面積は1246平方メートルで現在4つテナントが入る予定。2階には全国チェーンの居酒屋「魚民」1階には同じくチェーン店の「大戸屋ごはん処」と地元そば屋が運営する「そば妙高」、さらに飛田観光開発が運営する土産屋の「寄ってかんかね」が入る。土産屋の一画には地元パン屋のブーランジェM、和菓子の御母屋のショップも並ぶ予定。エンジョイプラザは来月1日のオープンを目指している。
上越市によると開業から5年、現在の上越妙高駅の乗降客数は1日約4500人で、年々増えている。市の調査では関東方面からはビジネスで。関西方面からは新潟や東北方面などへの観光ツアーの乗り換えのために多くの人が駅を利用していることが分かっている。
また東口ロータリー、バス・タクシー乗り場の前には現在IMタクシーが独自の待合所を建設している。待つ不便さを楽しみに変えたいと建物の設計はえちごトキめき鉄道のリゾート列車、雪月花を手掛けた株式会社イチバンセン、川西康之氏に依頼した。県産材の越後杉が使われている待合スペースは約50㎡。ソファ席が10席並ぶほか、和室の休憩所、授乳室、公衆無線LANや多言語翻訳機も完備している、これまでの形態とは一味違ったカフェ感覚の待合所になる。
同社の坂原悟専務取締役は「お客様が雨・雪の中で待つ不便さがあった。待ち時間が楽しいと思える空間にしたいと待合所に着手した。ここではインバウンドを含め、お客様に観光コースの提示も可能となる。新幹線の開業後は下車後のアクセスが悪いとよく耳にした。これからはいかに利用者に楽しんでもらう交通網にするかが我々に課せられている。」と話し、新たな2次交通の在り方を模索している。
まちの発展と共に駅周辺の施設を利用する人の数も増え、商業や交通でも新しいスタイルが生まれようとしている。フルサットの平原さんはこれから先の5年間について、ここを地域の玄関口「ゲートウェイ」と再認識することが大事として、「ホテルなどができてようやく『ゼロ』のところまできた。これまではアイドルタイム、空ぶかしだった。ここからが更なる知恵・工夫が必要。私が思うに観光地には看板がある。駅を出たときの『その地域を示すもの』がある。観光名所や土産物の名前など。これからは私たちのご当地のものをゲートウェイで『発信』していくことが求められる。ここで新潟・北陸に来たんだと訪れた人に思ってもらえないと。」と話している。
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