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上越地域の人工透析医療の現状は?上越保健所の山﨑所長に話を聞きました

2021年07月11日 14:09更新

腎臓の人工透析を受けている患者が、上越地域で年々微増傾向にあります。昨年度は558人でした。そうした中、68人の患者を抱える新潟労災病院では、去年4月以降常勤の医師が不在となったため、現在、上越総合病院と新潟大学から医師が派遣されています。しかし、この体制を維持するのは難しいとして、今後どう対応するか課題となっています。透析医療の現状や今後について、上越保健所の山﨑理所長に話を聞きました。

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上越地域では現在、6つの医療機関で人工透析医療を実施しています。患者の数は、昨年度現在で558人でした。2013年は496人で、その数は年々微増傾向にあります。また、透析に用いる装置1台当たりの患者数は2.67人と、県平均の2.44人を上回っています。

人工透析グラフ

山﨑所長は「新規の透析患者はどこでも一定数あり、上越地域も他の地域とだいたい同じくらいの患者が入る。一方で、上越地域は亡くなって透析を外れる人が少なく、結果として患者数が微増していく。これは、医療の質が高いことを示していて良いことだが、医療機関からはこのペースで増えると厳しいという声が聞かれる」と話します。

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山﨑所長によりますと、透析医療は診療報酬が高いとされてきましたが、改正がある度に点数が引き下げられ、今では割のいい仕事とはいえないといいます。そのうえで「移動が難しい患者の移動や送迎などの病院の手間は、診療報酬には反映されない大変さがある。これまで各医療機関でできる限りのことを引き受けてもらってきたが、個々の医療機関の努力だけで地域全体の維持ができるのか?そのことを考える時期にきている」と指摘しました。

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上越市東雲町の新潟労災病院では、6月末現在、透析患者68人を受け入れる中、去年4月以降常勤の医師が不在となったため、上越総合病院と新潟大学から医師の派遣を受けて対応しています。

しかし、派遣する病院から負担を解消したいとの声があがり、今の体制を続けるのは難しくなってきました。そのため労災病院では、地域の病院に透析患者の引き受けを打診してきました。

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そのうち上越市幸町にある渡辺内科医院では、去年3月から、夜間透析に5人の患者を受け入れました。関康夫事務長は「病院の幹部が集まって話し合った結果、よそは満杯で取れないと。当時スタッフに多少余裕があった当院が引き受けることになった」と経緯を話します。

山﨑所長は、労災病院が現在の体制を続けるのは限界に近づいているとして「労災病院を他の病院から応援してもらっているこの体制は、頑張っても2年が限界」と指摘しました。

山﨑所長の2年という指摘について、新潟労災病院はJCVの取材に対し「その期間は派遣を受け入れながら、現状維持に努めたい」と答えました。

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渡辺内科医院では、労災病院のほかにも地域の医療機関から透析の患者を複数受入れ、現在はぎりぎりの状態といいます。関事務長は「頼まれればできるだけのことはやりたいが、これ以上ベッドを増やすのは建物を増築しないと無理。ドクターもすでに負担が大きいため、増やさないと厳しい。全てお金が関係するため、行政がもう少し積極的に動かなければこの問題は解決しないのではないか」と、現状の厳しさを指摘します。

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県は、地域の病院に労災病院の透析患者を受け入れてもらうため、ベッドや医師を拡充する体制の検討をはじめています。山﨑所長は「今後2年をめどに、労災病院の患者が安心して医療を受け続けられるように、次の受け入れ先を確保し、地域全体の底上げを図りたい」と話しています。

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