2020年02月02日 16:01更新
奉納されたのは、長さ77cm最大幅35cmの木製四弦琵琶。表面の腹板に天女の彫刻が施され、漆喰が盛られた撥面の彫刻には金箔・銀箔を貼るなど、32年前に本堂の火災で焼失した「伝説の琵琶」を忠実に再現している。市内の中嶋和楽器店が絹製の絃を張り、実際に音を出すことが出来る。
奉納したのは、上越市港町在住の竹内一光さん。18年前に亡くなった父 、義賢さんが 、本堂が火災にあう10年ほど前、知人である五智国分寺の住職から本物の琵琶を借り受け、図面・型紙をとるなどして制作した。義賢さんは趣味で彫刻に取り組んでいたが、その腕前は趣味の域を超えていたという。本物そっくりの琵琶を見た「越後国分寺再建委員会」事務局次長の稲井義一さんは、「伝説の琵琶」の複製として、寺への奉納を決めた。
きょうは、五智国分寺の本堂で奉納式が開かれ、竹内一光さんに越後国分寺再建委員会と住職からお礼状が贈られた。竹内さんは、「家においても粗末になれば悪い。間違っても困る。これで良かった。父も喜んでいると思う。」と話す。
琵琶は住職が受け取り、火災前と同じ、本堂の釈迦如来像の前に置かれた。高橋考深住職は、「無くなった物が戻ってきた。複製品といえ寸分違わぬものを作っていただき、本当に感謝している。これからも前と同じように同じ場所で永く保存し、その因縁も伝えて行きたい」と改めて感謝の気持ちを表した。
奉納前の琵琶に触れた市内在住の女性は、「火事以来なので、大変うれしく思う。音色を聴くと平家物語を思い出す」と笑顔を見せていた。
稲井さんは、「地域の子どもたちにも琵琶の音色にふれてもらい、奉納された伝説と共に後世に語り継いでもらいたい。」と感無量の様子。琵琶には直接触れることは出来ないが、稲井さんによると、今後、奏者が見つかれば演奏会も開く予定だという。
上越市五智の五智国分寺は、1988年の火災により本堂が全焼した。その際、五つの如来像とともに焼失したのが「伝説の琵琶」。五智国分寺に伝わる伝説によると、その昔、盲目の僧侶が官位を賜ろうと京に上る途中、たまたまこの寺に泊まり、携えた琵琶を弾いている間に財布を盗まれた。僧侶は、「我執を捨てよ」との仏の導きとあきらめ帰郷しようとしたが、直江津の橋で人にぶつかり、突然目が見えるようになった。僧侶は、急いで寺に引き返すと、感謝の祈りを捧げ、琵琶を奉納したという。
※ご覧の記事の内容は2020年2月3日(月)JCVニュースLiNKで放送予定(TV111ch)初回18:30
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