2023年08月10日 23:50更新
猛暑による農業への影響が心配です。上越市の山間地に広がる棚田では、頼りとする雨が先月21日の梅雨明け以降、降っていないため田んぼの土がひび割れし、イネの育ちに影響が出ています。牧区を取材しました。
上越市牧区坪山の棚田です。
田んぼの土が乾いて至るところに深いひびが入っています。
田んぼの持ち主である民宿、「どぶろく荘」によりますと、出穂の時期をむかえるこの時期に水分が不足すると、コメの実が割れる、胴割れ米になる恐れがあるということです。
どぶろく荘 中川卓夫さん
「穂が出始めてこれからが1番、水が必要な時期。実のふっくらしたコメでなはなく、痩せた米になってしまう。等級が3等米や2等米になると作っても赤字になってしまう」
牧区の棚田は、そのほとんどが雨水に頼る「天水田」です。
これは集落共有のため池です。雨水を貯めたもので、0.5ヘクタールほどの広さがあり、田んぼ8ヘクタールほどをまかなっています。集落では、ため池の水を9」日(水)に田んぼに入れましたが、節水で十分な量ではなかったため、すぐに乾いてしまったということです。
どぶろく荘 中川卓夫さん
「この水の量だとあと3回くらいでなくなる。本当はもっとイネにやりたいが、出穂のときのために残している。ほ場の命」
どぶろく荘では、このため池とは別に、自費で50アールほどの溜め池を作りました。 集落の溜め池が涸れた時の切り札として使うということです。
どぶろく荘 中川卓夫さん
「雨が降ることを願うしかない。イネにとっては台風の雨が頼り」
こうした中、上越市はきょう農地渇水対策本部を立ち上げ、農業者への支援をはじめました。
本部長の空周一さんは「8月4日に水稲が枯れる初期症状の報告を受けた。その後も複数件、農業被害の報告を受けたため、被害拡大を防ごうと対策を講じたい」と話していました。
具体的な支援は3つです。
1つ目は、農業用水を確保するため、頸城区の消雪用井戸を開放します。利用は事前予約制で、来月10日まで給水を受けることができます。
2つ目は、農作物への水やりでポンプなどを借りたり、購入する費用、そして、その燃料費を補助します。それぞれ2分の1を限度に、補助額が決っています。期間は来月10日までです。
3つ目は、畜産農業者向けに畜舎の暑さ対策として、送風機や散水設備の購入費、そして電気料金をそれぞれ2分の1を限度に補助します。
相談は平日だけでなく、休日、祝日あわせて市農政課(025-520-5748)で、そして平日は各区の総合事務所で、それぞれ受け付けます。本部長の空周一さんは「少しでも安心していただけるように一緒に寄り添っていきたいのでぜひ活用してほしい」と話していました。
8月7日(月)の矢代川
妙高市でも、緊急対策の支援を行います。 農業者が、田んぼや園芸作物などへの水やりのために、ポンプやホースを借りたり、購入した場合の費用を、最大3分の2まで補助します。額はそれぞれに上限があります。
また、畜産農業者向けに、家畜小屋での冷房設備などの整備や電気料金などを支援します。支援の期間は今月31日までです。詳しくは、妙高市農林課までお問合せ下さい。
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