2021年12月25日 06:19更新
上越市は赤字経営が続く第3セクターのうち、うみてらす名立の指定管理者「ゆめ企画名立」を、長野県で複数の宿泊施設などを運営する民間会社BJに譲渡する方針で協議を進めていることが分かりました。また市が筆頭株主を務める「よしかわ杜氏の郷」は民間に譲渡したい考えで、売却先を公募する方針です。
これは24日(金)に開かれた上越市議会文教経済常任委員会で明らかになりました。
うみてらす名立の指定管理者「ゆめ企画名立」は市が100%出資している株式会社J-ホールディングスの子会社で、国道8号線沿いの道の駅うみてらす名立の指定管理者です。ゆめ企画名立はコロナ禍で2期連続の赤字となっています。
こうした中、市では令和4年度以降の指定管理者を公募し、長野市に本社がある株式会社BJを選びました。BJは長野市で6つの日帰り温浴施設や宿泊施設などを運営しています。指定管理者がBJになるのに合わせて、ゆめ企画名立は株式すべてをBJに譲渡し、子会社になる見通しです。
ゆめ企画名立には正社員やパートを含むおよそ80人が働いていますが、雇用は確保されるということです。ゆめ企画名立は親会社が変わっても、そのままうみてらす名立の管理運営にあたることになります。
市はBJをうみてらす名立の指定管理者にする考えを、3月議会に提案することにしています。
また市が80%以上出資する「よしかわ杜氏の郷」は民間に譲渡したい考えで、売却先を公募する方針です。
よしかわ杜氏の郷は年々売り上げが減少していて、昨年度は5500万円あまりとピーク時の平成18年度の半分以下に落ち込みました。平成20年度には、借入金の返済が困難になり、市が1億2200万円の追加出資をしています。
以降は副市長が社長を務めていましたが、現在は社長を含む取締役3人が非常勤で、中長期的な経営計画を立てて運営することが難しくなっていたということです。
日本酒業界では付加価値があり特徴のある商品開発の体制づくりが求められていることや、創業から20年あまりが経ち、施設と設備が老朽化していることなど課題は少なくありません。
市では抜本的な改革が必要とする一方で、酒造りの文化の継承と従業員の雇用の継続を念頭に、民間への譲渡を進めたい考えです。
市では来年1月から株主に方針説明などをした後、6月に売却先の公募を始め、10月に譲渡契約を行ないたいとしています。
またJ-ホールディングスについては、当初7つの子会社がありましたが、すでにキューピットバレイと三和振興が解散しています。ゆめ企画名立の株式譲渡が決まると今後、持ち株会社としてのメリットが発揮できないとして、市では解散を含めて整理したい考えです。
市から報告を受けた委員は、J-ホールディングスの役割はなんだったのかと、市の責任を追及しました。これに対し産業観光交流部の小田基史部長は「本来であればそれぞれの会社が経営努力のため、収益を上げるために企画・投資をする。私たちも会社に入って意見を言っても、会社から見たら市が何かやってくれるという甘えにつながった。それを断ち切る必要がある。経営が厳しい中で、次の手段を考える時期に来ている」と話しました。
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