2021年06月16日 17:56更新
保倉川の治水対策で国が進めている放水路が建設されると、周辺の環境にどのような影響がでるのか、高田河川国道事務所は塩害や水質、生態系にいたるまでシミュレーションを重ねる方針を示しました。
保倉川放水路のルートは、頸城区の下三分一から県営南部産業団地の東側に沿って、夷浜と遊光寺浜の間を通り、上越火力発電所近くまでの延長3キロが検討されています。放水路の幅は100メートルほどで、洪水があった時には保倉川本流から毎秒700立法メートルの分流を確保します。
高田河川国道事務所では、これまでに八千浦、夷浜、南川地区など5つの地区ごとに住民説明会を開き、建設計画への理解を求めてきました。住民からは、放水路が生活や環境にどう影響するのか、海風の影響や海水による地下水への影響を懸念する声が挙がったということです。
これをうけて高田河川国道事務所では、現状を把握しようと、令和元年度10月からの1年間、対象地域の水質や、塩害・風害などを調査しました。15日に開かれた環境調査検討委員会では、この調査結果が報告されました。今後は、放水路が完成した場合に環境がどう変わるのか、シミュレーションする段階に入ります。
あわせて、動植物などの生態系については、対象地域を3つのエリアに分けて影響を予想します。具体的には、放水路を掘削するエリア。放水路への分流で水環境に変化が想定される保倉川と関川。放水路によって淡水が放流される河口部の海域です。
高田河川国道事務所の吉田俊康副所長は「環境アセスメントの調査項目にはない風や塩水などについても、調査を重ねて影響を予測していきたい。通常時ではない場合も含め、いろいろな状況でのデータを取る必要がある。地域住民からの不安の声があるため、必要な部分ではしっかりと対策を検討していきたい」と話していました。
今後はシミュレーションをふまえて、環境保全をどうするかを検討し、総合的な環境レポートをまとめるということです。
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