2017年06月16日 15:44更新
雁木のある街並みや雪国の文化、そして高田の風情に惹かれ、一人の外国人が上越市に移住してきた。
ニュージーランド出身 クリス・フィリップスさん(55)
彼の名はクリス・フィリップス。ニュージーランド出身の55歳。上越市本町の空き家になっていた築約80年の町家を購入し、今年の4月から生活している。戦前の日本の生活を再現しているという室内は、タイムスリップしたかのように昭和初期の香りが漂っている。
購入した上越市本町2丁目の自宅前 近隣住民と会話を楽しむ
クリスさんは魅力ある雰囲気を創造する自称アーティスト。一方で一般社団法人「雁木のまち再生」を立ち上げ、理事として活動している。町家の保存・再生に取り組み、まちの活性化につなげたい考えだ。
日本に関心を寄せるようになったのは、ニュージーランドのテレビ局で日本の担当記者として活躍していた父親の影響。わびさびを取り入れた日本の美的センス、文化の奥深さに惹かれていった。特に古い日本映画が好きで、そこに登場する日本独特の町並みや風情に興味をそそられたという。
23歳のときに来日し、関東で翻訳の仕事をしながら日本中を旅してきた。挫折をして故郷に戻った時期もあったが、日本を忘れられず再び戻ってきた。上越に興味をもったのは映画に登場した“とんび”や“角巻”など雪国独自の文化だった。一目ぼれしたという町家を購入。骨を埋める覚悟で上越に移住。
現在は団体の活動を中心に、和服作りのために上越和裁学院に通って裁縫を習ったり、インバウンド向けの英会話教室を開く計画を立てている。
テレビ東京の番組「YOUは何しに日本へ?」で取材を受けたことも
“シンプルでエコ”をこころがけているという彼の家にはテレビ、冷蔵庫、暖房器具などの電化製品はない。移動手段は歩きか、自転車のみ。生粋のサイクリストでもあり、上越の起伏にとんだ道や、走っていて飽きのこない海・山・川と自然豊かな景観にも魅力を感じている。
多数の自転車を所有 お気に入りは明治初期のオーディナリー自転車
クリスさんは移り住んだ高田の町並みついて「外から来た人には驚きと感動がある」と話す。一方で、古き良き雁木の町家が保存されることなく壊されつつある現状を危惧している。
「まだ住める町家が取り壊される姿を目の当たりにし、心が痛んだ。雁木や町家は“遺産”。」と主張する。
「壊す前に一声かけてほしい。空き家になっている町家のサビを落とし、人が住めるような、住みたくなるような場所にしたい。」と再生を強く願っている。これまでの人脈を活かし、空き家になっている町家の買い手を探したり、東京を中心に、興味を持っている人たちに紹介していきたいと、ネットワークの活用を模索し始めている。
家に飾る衣装展示用の人形 戦前の着物を着せ芸者風に仕立てた
いずれは、自身が住んでいる町家も一般公開できるようにし、高田に存在する歴史的建造物と古い町家とつないで、高田を巡る遊歩コースを提案したいとアイデアを練っている。
「行動しなければ何も変わらない。」とクリスさん。
地に足をつけ、高田のまちに新風を吹き込もうと動き始めている。
シリーズ街人・・・
街づくりに携わる人にスポットをあてた不定期シリーズ。
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