2021年01月25日 10:25更新
佐渡島内にはおよそ70棟の茅葺屋根の建物があります。しかし維持していくには課題も多く、特に材料となる茅の確保が難しいのが現状です。こうしたなか、茅葺屋根のある風景を残そうと新たな取り組みが始まっています。
佐渡市新穂武井の髙野明さんの住宅はおよそ150年前に建てられた茅葺屋根の古民家です。重厚感のある屋根は昔ながらの風景を思い起こさせるだけでなく、冷暖房設備がなかった時代に快適に過ごすための知恵が詰まった機能的な屋根でもあります。髙野さんは「茅葺屋根の建物は夏でもクーラーいらずの涼しさで、冬は雪が降っても屋根に傾斜があるため、自然と雪が落ち、雪かきする必要がない」と話しています。
昔は多くの茅葺屋根の住宅があったと話す髙野さん。当時は地域で協力しあいながら屋根をふき替えていましたが、茅葺屋根が減っている現在は、維持に頭を悩ませています。「茅葺職人も減ってきているし、茅も集めずらくなっている。職人もいない茅もないとなれば茅葺も取り壊すしかない」と……。
こうした中、茅葺屋根の維持と継承のため、ある取り組みが始まりました。良質な茅場の整備と茅刈りの技術継承を目的に、一般財団法人佐渡文化財団が中心となり去年12月に「茅刈り講習ワークショップ」が開かれました。
島内にあるおよそ70棟の茅葺屋根のうち9割は修復が必要とされていますが、佐渡は離島のため島外から茅を購入すると通常よりも割高になります。ワークショップの主催、佐渡文化財団の鶴間基宏事務局次長は「地元の方の協力を得て、佐渡の茅で佐渡の茅葺屋根を守る仕組み作れたらなと思い、試験的な試みで実施した」と話しています。
この日は茅場の候補地の一つ佐渡市小倉で、茅葺職人の古舘雄流さんの指導のもと、住民代表の6人が茅の刈り取りや束ねる技術を学びました。長年、手が加えられていなかった土地のため雑草なども多く参加者は慣れない作業に苦労していましたが、良質な茅場にしようと次々と茅を刈り束ねていきました。
参加者からは「茅を刈るのは初めてなので難しい。刈った後に茅の束をそろえるのもまた難しい」「今年は初めてだからまだ大変だけど、これから手入れを続けることでよい茅場にしたい」などの声が聞かれました。
今回学んだ茅刈り技術は、茅葺技術とともに「伝統建築工匠の技」として去年、ユネスコの無形文化遺産への登録が決まりました。佐渡文化財団では来年度はさらに取り組みを広げ、地産地消での茅葺屋根の継承につなげていきたいとしています。
佐渡テレビジョン
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