2020年12月23日 17:47更新
コメ作りの明るいミライ!
儲かる農業を目指し、上越市が取り組んできたいわゆるスマート農業の実験結果がまとまり、ドローンやICT技術を使う効果がみえてきた。
結果は23日に開かれたスマート農業プロジェクトの成果検討会で報告された。
上越市は米農家の後継者不足や高齢化が課題となるなか、全国に先駆けスマート農業の実証実験を昨年からの2か年計画で進めてきた。上越市スマート農業プロジェクト委員会の近藤直樹 委員長は「ほ場の大区画化とスマート農業を進めることで、上越市が産地として生き残るカギになる」と話す。
実証実験ではドローンや遠隔操作のトラクターなど、全部で8種類のスマート農機を使い、上越市板倉区のほ場約16.6ヘクタールで、コシヒカリとつきあかりを栽培した。田起こしから稲刈りまで、工程のほとんどでスマート農機を導入したということ。
そのうち田植え前の農地整備では、GPSを利用した自動運転型のトラクターを使った結果、作業時間が従来よりも荒掻きで39%、代掻きで25%、それぞれ短くなった。さらにこのトラクタで、種モミを20cm間隔で直播きしたところ、誤差2~3cmと、高い直進性を示した。
施肥マップは前年のデータをもとにしたもので、イネの葉の色ムラにあわせて、自動トラクターで肥料を撒いたところ、精度10%以内で正確に散布できた。
田んぼの給水を離れたところから管理するシステムでは、パソコンやスマートフォンを使って自動で給水することで、作業時間が約8割減った。ほ場を提供した高野生産組合の小林昌宏さんは「今年はスマート農機の効果を十分に確認できた。この成果は担い手へのPRになると思う」と話した。
近藤委員長は「プロジェクトを通して上越市がスマート農業の先進地だという認識が広がってきている。この歩みを止めず、来年度以降もスマート農業の先進地として発信していきたい」と力を込めた。
市ではさらに精度の高いノウハウを目指して、来年度以降5年間は実証実験を行う予定。また、今回の成果報告書は来年2月、農研機構に提出される予定。
なお、今回の実証では目標の収量は達成できなかった。市によるとスマート技術による効果はあったが、長雨と猛暑の影響が大きかったということ。スマート農機は使いこなしに一定の慣れが必要ということだが、市では継続して使えば手間やコストの削減につながるとPRしていく考え。
実験の事業費は約4,500万円。全て国の補助金で賄われた。
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