2017年03月07日 09:21更新
年々増え続けている外国人観光客。妙高市ではウインタースポーツを楽しもうと、赤倉温泉などのスキーエリアがにぎわう一方で、冬に限らず外国人観光客を増やす取り組みが進められている。そのひとつが、農家の家に泊まり田舎暮らしを体験する「民泊」。
マレーシアから来た外国人観光客、オンさんとアーロンさん。妙高市で田舎の暮らしやスキーを体験しようと来日した。宿泊先は妙高市矢代地区の小嶋正彰さんの自宅でもある農家民宿。2人はひな飾りを見た他、郷土料理の笹ずしづくりに挑戦。
翌日は市内のスキー場で新井南小学校のスキー授業に参加した。
オンさんは「妙高は京都、東京といった都市と違い田舎なので雪山の景色が違うのんびりしているところがいい」。アーロンさんは「想像を超えるくらいの楽しさを感じる。元々日本が好きで来たことでさらに好きになった」と話した。
妙高市では行政と民間が協力して観光地づくりを進める「妙高観光推進協議会」が民泊の魅力を台湾、香港に向けて発信している。今回訪れたオンさんとアーロンさんは妙高市が民泊のPRのために呼んだ台湾人のブログなどを見て、妙高市を知った。矢代地区で外国人を含んだ観光客の受け入れをしている農家民宿は8軒。受け入れは昨年度から試験的にはじまり、今年度、本格的にスタートした。
今回、2人を受け入れた小嶋正彰(まさあき)さんと妻の直美(なおみ)さんは約4年前に妙高市内で最初に農家民宿として観光客の受け入れを始めた。直美さんは「私たちが住んでいる自然にびっくりされる。食べ物も自分の国にないものなので美味しいといってくれたり、食べられないこともあるが、気持ちを受け取ってくれる。お互いに心の交流になる」と話した。
民泊で訪れた外国人が地元の児童と交流するのは初めて。新井南小学校では全校児童が英語を学ぶ授業に力を入れていて、「子どもたちの学習につながる」と考えた小嶋さんが企画した。
正彰さんは「地域の魅力はたくさんある。地域の皆さんに魅力に気づいてもらって元気な地域をつくる。子どもたちがそれを見て、僕らが育ったところはこんないいところなんだと再発見してもらい都会に出ても自慢ができるような地域にしていかなければけないと思っている」と話した。
今年度、農家民宿を利用する外国人観光客の数はのべ250人の見込み。協議会では手ごたえを感じる一方で、今後も受け入れる農家民宿を増やすことを目標にしている。
妙高観光推進協議会の丸山裕治さんは「最初の年にしては250人に増やせたということでよかった。個人客に来てもらえると、そのお友達など、どんどんきてもらえるような状況になってきつつあるので、今やっている方だけでなく、取り組んでいない方にも広まっていくことが観光地域づくりにとって重要なこと」と話した。
外国人観光客を増やすために、四季を通じた取り組みが定着するのか。市と市民が協力して進める新たな魅力が世界に広がり始めている。