2019年02月07日 10:49更新
1年間で45人。昨年、上越市で自殺した人の数。平成21年の73人をピークに減る傾向にあるが、いまだ全国平均より高い水準にある。こうしたなか、上越市は今年度、市内30地区で地域ごとの自殺予防に取り組む体制づくりを進めた。その結果、上越で自殺が多いことを知らない住民が少なからずいる状況が分かった一方、うつ病を抱える人へのケアをふくめ、地域で見守りたいという要望があったことがわかった。
これは5日に開かれた「上越市自殺予防対策連携会議」で報告された。上越市は今年度から自殺予防対策の5か年計画に取り組んでいて、人口10万人あたりの自殺死亡率を2016年の22.4から5年後の2021年に15.7へと3割減らす目標を掲げている。
初年度となる今年度は、市内全域となる30の地区で自殺予防講座を開くなど、住民の意識を高めて見守り体制につなぐ事業を進めた。そのなかで、自殺が多いことを知らない住民の状況が分かった反面、うつ病や認知症の予防を学んで見守り活動したいという要望があったという。
市では今後、地区だけでなく企業も対象にした自殺予防対策の周知を進める方針。また、会議では今年度、自殺未遂者、または自殺を考えた人があわせて14人だったことが示された。特に、14人中、50代・60代が5人と多くなっていて、この世代では、親の介護で精神的に落ち込んだり、生活に困窮している状況などが明らかになっている。
これを受け、会議では、こうした人たちを含む壮年期(働き盛り)への心のケアに力を入れるべきとの意見があがった。
上越市自殺予防対策連携会議の川室優会長は「高齢者になると色々な問題を抱える。経済、家族構成…。地域で高齢期の生活が充実するような支援が大事」と話した。
上越市では自殺未遂者が発生した場合の対応として、搬送先の医療機関が本人や家族の同意を得た上で、県の「いのちとこころの支援センター」に情報提供するとともに市や保健所などと連携してサポートする体制づくりに取り組んでいる。
川室会長は「気軽に相談に行ける場所をつくる。例えば会社の中でも保健室に行って保健師に相談できるような体制づくりが大事だ」と、相談できる場所の重要性を強調した。
市では会議での意見を来年度の取組みに生かしていく方針だ。
■こころの悩みを抱える人や家族の相談窓口
・新潟県上越地域「いのちとこころの支援センター」
http://www.pref.niigata.lg.jp/jouetsu_kenkou/1355090528582.html
・上越市「こころの健康サポートセンター」
http://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/kenkou/lifeguide-385.html
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