2023年10月31日 17:42更新
9月5日、上越市の公立小学校で児童1人が給食を食べて食物アレルギーを起こし、救急搬送されて一時入院した事故について、アレルギーの原因となったメニューは、クリームコーンを使ったスープだったことが分かりました。また、児童が具合が悪くなってから、担任の教師がアナフィラキシー症状を抑えるエピペンを打つまでに18分かかったことも分かりました。上越市教育委員会は、一歩誤れば、命に関わる重大な事故だったとして、エピペンを持つ児童がいるすべての小中学校の教職員を対象に、緊急時対応の研修会を11月上旬に行なうことにしています。
上越市教育委員会 市川均 教育部長
「児童、保護者、ご家族の心身に大きな負担をかけたこと。改めて深くお詫び申し上げます」
これは30日に開かれた上越市議会文教経済常任委員協議会などで明らかになりました。教育委員会は、児童が食物アレルギーを起こした製品を、これまで「乳・乳製品」発表するに留まっていましたが、具体的には「冷凍クリームコーン」を使ったスープだったと明かしました。
そのうえで、事故の原因は栄養教職員が ふだん使っている「冷凍クリームコーン」に「乳・乳製品」が含まれていなかったと認識していた中で、事故のあった日は、いつもと違う別の業者に「冷凍クリームコーン」を発注したこと、さらに、アレルギーの原因となる「乳・乳製品が」含まれているかが分かる配合成分表を取り寄せていなかったことでした。加えて、調理員も納品時にパッケージに記載されている原材料の成分を見落していて、2重3重のミスが重なりました。
委員
「『関所』である栄養士、調理員が成分を見ないと何をやっても…」
「2重、3重のチェック。シミュレーションをしっかりとやってほしい」
また、アレルギーを起こした児童への対応が遅かったことも分かりました。この日、児童は、給食を3分の1ほど食べたところで腹痛を訴え、1人でトイレに行きました。その5分後、担任がトイレに行きますが、児童が個室にいたので声をかけませんでした。さらに その5分後、児童が戻らないため、別の職員がトイレに行き、児童に声はかけますが、その状態を詳しくは確認しませんでした。
委員
「児童は苦しくなってトイレに行って、なぜ出てくるまで 声をかけなかったか。さみしかった、苦しかったと思う。もしもの事が起きなくてよかった」
その後、児童は1人で教室に戻りました。顏が赤く、担任に「気持ち悪い」と訴え、倒れそうになったため、担任がバスタオルを広げて横にさせたうえ、児童に、アナフィラキシー症状を抑えるエピペンを打ちました。ここまで児童がトイレに行ってから18分かかっています。
上越市教育委員会
「当初(担任が)誤食を疑っていなかった。腹痛の時点で何かしらの対応すべきだった」
教育委員会では、11月上旬、エピペンを持つ児童がいる市内すべての小中学校の教職員を対象に、緊急時の対応を学ぶ研修会を行なうことにしています。
上越市教育委員会 市川均 教育部長
「アレルギー事故 人命にかかわる。重く受け止めている」
一方、教育委員会の中で、事故の状況を速やかに情報共有出来ていなかったことも分かりました。今後は、外部の専門家などから意見を聞き、事故防止や緊急時の対応、そして情報公開のあり方について1月に公表することにしています。
上越市教育委員会 早川 教育長
「命を預かる責任の重大さを実感。再発防止に向けて全力で取り組む。1度失った(信頼)、不信感の払拭は難しいが、地道に続けたい」
教育委員会によりますと、この学校では、7月にアレルギー症状を起こした児童の主治医を招いた校内研修を行っていました。にも関わらず、事故が起きてしまいました。この学校では、給食に「乳・乳製品」の入っていないものを提供する前提があったため、逆に、担任が事態の緊急性に気付くのが遅くなったということです。
気になる児童の様子ですが、事故の翌週から登校しています。一時は、自宅に戻って昼ごはんを食べたりしましたが、現在は、母親が付き添い、給食の成分を確認したうえ、別室で給食を食べているということです。
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