2023年09月06日 11:44更新
高校サッカーの県1部リーグで今シーズン首位を走り、さらに上のリーグをめざしている上越高校サッカー部。JCVではその躍進ぶりを取材してきました。
創部わずか8年目のチームが、ここまで成長できたのはなぜか?そこには、元Jリーガーだった監督が選手に伝えたい、ある信念がありました。
地域の人たちが応援しているのは「上越高校サッカー部」です。
今シーズンは、県1部リーグで強豪校としのぎを削りながら首位をキープ。見事な活躍をみせています。
部を率いるのは、元Jリーガーの藤川祐司監督(36)です。現役を引退したとき、サッカー教育に力を入れようとしていた上越高校と出会い、監督に就任しました。
実績の無い高校で藤川監督が意識したこと。それは「応援の力」でした。
現役時代の藤川監督(2011年 大分トリニータ)
Jリーグでの経験を通じ、圧倒的なサポーターがいるホームをつくれば、部員のプレーに対する気持ちが高まり、おのずと技術も向上する……これは、藤川監督の信念でもありました。
上越高校サッカー部 藤川祐司 監督
「自分は4つのJリーグクラブにいて、どこも地域密着で活動して応援してもらっていた。(上越でも)地域に応援されて、みんなで戦うチームを作りたかった」
では、部員たちは何をしたか?
地域ボランティアです。イベントや清掃活動に積極的に参加し、町内会や地域の人たちと交流しました。
写真提供:上越高校サッカー部
地域の人
「冬に雪堀りに来てくれた。シャッターが開かないほどの雪だったが(部員の力で)道が通れるようになった。近所の人、地域みんな感謝している」
監督のねらいは当たります。ボランティア活動の成果が少しずつ試合結果に表れてきました。
藤川祐司 監督
「地域活動で出会った人たちがグラウンドに足を運んでくれる。ホームゲームの勝率高く、(応援)確実にパワーになってつながっている」
監督の言葉どおり、今シーズン、ホームでの勝率は4戦して全勝でした。
部員
「ピッチ以外の場所でも、地域の人とあいさつする機会が増えた」
キャプテン 伊海央祐 選手
「試合の帰り道に、よくあいさつする地域の人が試合に来てくれていて『きょうはいい試合だったよ』と声をかけてもらった。来てくれたんだ、頑張って良かったと思えるし、これからも頑張ろうと思える」
「サポーターを喜ばせたい!」部員の意識改革は、練習やトレーニングにも変化をうみます。
藤川祐司 監督
「分かりやすくは『自主性』が出てきた。経験のなかで、考えながら主体的に行動するように。スポーツはやらされていたら成長しない」
県外出身の部員
「サッカーの技術だけでなく、人との関わり方も勉強できている。例えば、試合中にいらついて相手に文句を言いたい場面があっても、相手をリスペクトできるようになった」
これまでの7年間でサッカー部を巣立ったのは、およそ170人です。監督の願いは、サッカーを強くするだけではありません。
「人として成長してほしい」。進学したり就職した卒業生に、その思いはしっかり届いていました。
サッカー部の卒業生
「1期生だった。当時からあいさつなど徹底していて、生活面も鍛えられたと思う」
「今は大学で工学部に通っていて、将来は機械を使って環境問題を解決したい。サッカー部のときのゴミ拾い活動が、今の自分に生きている」
この日の応援席には、温かい目でチームを見つめる人がいました。
地域の人
「初めて見たときはまだ同好会で、5~6人で遊びのようだった。今はもう雲泥の差。市民が試合結果を気にするようになったのが(地域に)浸透している証拠。今のまま成長して勝ち進めば、確実に地域の誇りになる」
今シーズン、チームは絶好調。11月には、さらに上の北信越リーグへの昇格をかけた入れ替え戦に臨む予定です。
地域からの応援に支えられ、人を育てる上越高校サッカー部。フィールドにはエネルギーがあふれています。
キャプテン 伊海央祐 選手
「上越はサッカー不毛の地と言われてきた。『プライドオブ上越』の精神で勝ち続けて、地域に恩返ししたい」
藤川祐司 監督
「(昇格を)地域の人と一緒に喜び合いたいのが目標。『おらがまちのチーム』と愛してもらっている。みんなで戦っていきたい」
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