2017年09月18日 06:08更新

算数の問題を工夫して、子どもの考える力を育てる方法をまとめた指導者向けの参考書「算数好きを育てる教材アレンジ アイデアブック」を、上越市立直江津南小学校が出版した。学校では学力テストの点数が全国平均を上回るなど、成果が現れている。

「きょうは、ビンゴをします。１～50までの好きな数字を９つのマスに書いてください」

教室に児童の歓声が響いた。直江津南小学校5年生の授業だ。児童は先生が箱から取り出したボールの数字をまるで囲っていくが、先生がボールを箱から取り出すのは4回まで。ビンゴを完成させた児童はいなかった。

そこで設けられた特別ルールが”倍数”。箱の中にあるボールは2から9までしかないため、倍数もまるで囲う対象とした。

歓声を上げて喜ぶ児童

50までの数字で、24や48など2から9までの倍数のうち、それぞれの倍数に当てはまる数字ほど、ビンゴになりやすい。ボールの数字が読み上げられると、児童がビンゴを完成させ、歓声を上げながら、児童同士で思わずハイタッチ！　45分の授業があっという間だったと感じる児童もいた。授業が終わり、児童は「公倍数が多いほど当たる確率が当たる」と話し、倍数について学んだようすだった。

参考書ではこの授業のようにゲームの要素を取り入れたり、面積や時間の計算などを実際の生活に当てはめたりする8つの方法を紹介している。

直江津南小学校では平成27年に北陸4県を対象にした数学教育研究大会の公開授業が行なわれている。学校ではその2年前から算数への関心を高める授業づくりを20人を超える教員たちが研究し、実践してきたという。その結果、全国学力テストの応用問題の点数が、全国平均と比べ、昨年度は3.8ポイント、そして今年度は6.1ポイント上がり、成果が現れた。参考書には4年間に及ぶ研究成果や教材を工夫した問題が28通り掲載されていて、公立の学校として参考書を出版するのは全国的にも珍しいということ。

家庭でも算数を楽しむめの方法として、横山校長は「例えば二等辺三角形を学習したら、冬囲いの形が二等辺三角形に似ているということを、子どもに示唆するなど、身の回りの中で発展させて考えることが大事」と、話している。今回出版された参考書は学校または市内の書店などで購入することができる。