2016年08月31日 12:21更新
火打山の山頂周辺は、環境変化により国の特別天然記念物のニホンライチョウが減少しているとみられる。環境省の長野自然環境事務所と妙高市は山頂付近でライチョウのエサ場を回復させるための調査を実施している。
調査は火打山の山頂周辺の約10か所で実施。いずれもニホンライチョウの生息域で、一般の登山者の立ち入りは禁止されている。その中のひとつ、山頂東側の急斜面にはニホンライチョウのエサとなるシラタマノキが群生。しかし、そのシラタマノキに覆いかぶさるようにイネ科の植物が生えている。ライチョウ減少との因果関係はわかっていないが、周辺にイネ科の植物が増えたことで高山植物が消滅した事例も報告されている。こうした環境の変化は、ここ20~30年ほどで起きていて地球温暖化が原因と見られている。
そこで環境省長野自然環境事務所と妙高市は、特定の区域でイネ科の植物を取り除き、その後の植生の回復状況や、無人カメラを設置してライチョウの行動の変化を調査することに8月31日からの調査には、長野県の環境保護団体のメンバー5人も加わり作業を手伝った。今回の調査に参加したのは長野県の一般市民だったが、長野自然環境事務所では「ぜひ妙高市民にも調査に加わってほしい」と呼びかけている。
なお妙高市では今年11月20日にライチョウをテーマにしたシンポジウムを開く予定。シンポジウムでは今回の活動も紹介される予定で環境保全に対する理解を広め活動に弾みをつけたいとしている。
※火打山・・・ニホンライチョウの最北端の生息地。国内の生息地の中でも最も生息数が少ない場所とされ、生態もわからないことが多い。ライチョウを捕らえるテンやキツネなどの動物の存在も確認されていてエサ場の回復と並行して対策を取ることが望まれている。