2022年01月08日 11:00更新

上越市の地域協議会をご存知ですか？市内28の地域自治区ごとに設置され、住民自ら地域の課題を議論し、市長に意見を伝える機関です。この協議会、設置から12年が経ちますが、住民の意見がどこまで反映されているのかなど、いろいろ課題が指摘されていて、中川市長は、去年暮れに抜本的に見直す方針を発表しました。

年が明けて6日に、市長自ら協議会の会長全員に新しい方針を説明しましたが、わずか30分ほどで切り上げたこともあり、出席者からは、賛否や不満など、さまざまな声が噴出しました。

まず地域協議会の役割を説明します。

地域で市が進めようとしている事業などについて、市長の求めに応じて話し合い答申します。また重要な役割として、地域課題を自主的に話し合い、市に意見書を出すこと。地域のイベントや行事などを審査して、「地域活動支援事業」として、市から補助を受けることです。この支援事業の予算は、全体でおおむね１億8000万円となっています。

中川市長はこの地域協議会を抜本的に見直し、令和5年度から新しい仕組みをスタートさせる考えです。具体的には、地域活動支援事業を廃止、その代わり、地域に独自予算を与え、その枠内で協議会による自主的な地域づくりを進めるとしています。

市長は本格的な見直しに向けた経過措置として来年度は、地域活動支援事業を継続します。ただし、イベントなどの内容審査は、地域協議会に任せず、市が行うとしています。市長は「地域活動支援事業は地域分権を実現するためのツールとはいえない。地域協議会はこれまで以上に地域の課題に集中して議論を深めてほしい」と、その狙いを説明しました。

しかし、この説明会、市長は公務があるとして、わずか30分ほどで退席となりました。会長たちからは、一方的な説明に不満の声が上がりました。

「市長の心情や考え方をもう少し十分に聞く時間が必要だった」「（文書も無く）口頭で言われると少し不見識。地域協議会会長に流せば事が済むという自治区の職員の考え方は絶対いただけない」

会長の中には、これまでの村山市政では、協議会として真剣に議論して諮問に応えても、市政に生かされなかったとして、制度の形骸化を指摘する声もあがりました。

「自主審議して市に意見書出しても『予算が無いからダメです』。では市がやってくれと言っても、全くやってくれない。これでは地域協議会の意味が無い。どんなに良い意見が出ても行政ができないと言えばそれで終わり。地域協議会がしっかりやれと言うなら、行政もしっかりやってもらいたい」

会場では、中川市長の基本的な考えに理解を示す人も少なくない一方で、ほんとうにできるのか、実現性に疑問を投げかける声もありました。

 「地域活動支援事業は各地区で事情が違う。浦川原は足りない。希望が沢山あっても応じることが出来ない」「一般住民は自分の生活が精一杯で地域のことを考える余裕はない。ところが実際は協議会メンバーでも嫌々出てくる人が多い。『忙しいのに何で行かなければ』と全員が揃うこともほとんどない。意識改革が一番大事。市長はしっかりやってもらわないと」

市によりますと、説明会は会長たちから了解を得るためではないとして、市長の説明と市長が退席した後の議論をまとめた報告書を近く協議会に配布して、さらに意見を聞いていくことにしています。

有田区 熊木 敏夫会長「納得はしてない。市長は質問に全部答えてない。理念だけ話されても、現場の我々は戸惑う。 その一点」清里区 古澤 文夫会長「地域協議会の立場はどうなるのか。（支援事業の）審査もないし、不安はある」浦川原区　藤田会長「構想としては悪くないが、ただ物事をやるにはルールがある。強引にこれをやっていくんだとすれば、住民が納得しない。今のものを180度すぐ変えるのはまずいのでは」三和区　髙橋 鉄雄会長「地域協議会で（支援事業の審査に）費やす時間がかかっていたのも事実。もっとやるべきことがある。（市長の構想は）非常に前向きで良いと思う」