2021年10月22日 18:54更新
上越市本町4丁目の杉田味噌醸造場が、伝統的な木桶仕込みの味噌の製法を後世に伝えていこうと、このほど新しい木桶一基を新調しました。この希少な木桶を、多くの人に見てもらおうと、23日(土)からはじまる越後謙信SAKEまつりにあわせて、店舗の前のイレブンプラザに特別に展示されています。
新しく造られた木桶です。奈良県産の吉野杉が使われています。高さと直径は共に1.75メートル、重さは380キロあります。製造したのは、大阪府堺市にある藤井製桶所の桶師、上芝雄史さんです。こうした木桶を専門に扱う業者は、全国でもほとんどいないということです。
1890年創業の杉田味噌では、ステンレスや強化プラスチックのタンクのほかに、伝統的な木桶仕込みの味噌づくりを続けています。
木桶は全部で9基あり、そのうちの6基が稼働していますが、すべて100年以上前から使用していて、老朽化が進んでいました。
杉田味噌醸造場の杉田貴子専務
「私たちも半分諦めていた。新潟でメンテナンスできる人もおらず、造っている人もそもそもいない。大阪の顧客から『藤井製桶所』を紹介され、既存の桶の修繕を見てもらった。新調する方法がないから、今のタイミングでやらないと後悔すると思った。少なくとも100年以内に新調の記録はない」
藤井製桶所の上芝雄史さん
「酒造店へはちょこちょこ納品があるが、一回納めれば次は当分仕事はない。(味噌店への納品は)珍しい。大きな桶を作るのは注文事態がない。桶屋が残っていくのはかなりのハードル」
杉田味噌では、23日からの越後謙信SAKEまつりにあわせて、上越の発酵文化を身近に感じてもらおうと、イレブンプラザで木桶を展示することにし、22日に搬入作業が行われました。
途中、桶の底に「墨書き」が行われ、杉田文子社長が日付や蔵主の名前と共に、願いを筆に込めました。
杉田味噌醸造場の杉田文子社長
「ほんとうに100年続いていくといいなぁと貴子専務と二人で相談して書いた。新造の木桶は立派。古い木桶しか見てないのでびっくりした」
杉田貴子専務
「木桶は他の素材と違い熱伝導率が低いので、穏やかに味噌が熟成しまろやかな味わいになる。新桶は見る機会のないもの。上越の味噌を愛するきっかけになってほしい」
木桶は24日まで、イレブンプラザに展示されます。その後、三和区にある工場に運ばれ、この冬から仕込みが始まります。この木桶で味噌ができるのは、来年の秋になる予定です。
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