2021年04月28日 10:58更新
佐渡市両津地区春日のとある小屋の中では、春日神社例大祭を2日後に控え、春日鬼組の最後の練習が行われていました。
春日鬼組では、新鬼の子どもたちによる勇壮な舞いや海外から訪れるパフォーマーによる国際色豊かな演奏が披露されるなど例年にぎわいを見せていました。
しかし、今年はコロナ禍のため海外からの参加をはじめ佐渡島外からも「応援に来たい」との声がありましたが、現在の状況を鑑みて、断るなど切ない対応をせざるを得ませんでした。
そんな人々の想いを背負い、メンバーは祭り当日に向けて一心に稽古に励みます。
子どもの稽古時間が終わると、面をつけた大人たちが稽古へ。通例であれば鬼役の間で使いまわすという面は、感染防止策として「1人1つ」の着用を徹底し祭りに臨みます。
春日鬼組のメンバーは「子どもも大人も毎日練習を頑張ってきた。新型コロナの状況で祭りをやるかやらないかをみんなで検討してきたが、縮小ながら精一杯短い時間でも地域の人達に舞を見せたい」と話します。
そして4月14日。春日神社例大祭 本番の日を迎え、拝殿でお祓いを済ませた鬼たちが境内で舞を奉納しました。
威勢良く神社を出発すると本体と別班の2つに分かれ、保育園や福祉施設などへ門付けして回ります。
門付けに訪れた梅津保育園では、鬼の迫力に驚いて泣く園児もいれば、目を輝かせながらちょうちん持ちとして参加する園児たちも。
1軒1軒門付けするところ今年は感染防止の観点から大規模には行われずに、来年の門付け実施を目指して厄払いの意味合いを込め、集落の「境」ごとの門付けとなりました。
また、飲食の提供を受けないほか、門付けの最中には鬼組のメンバー以外の地域の人との接触は極力避けるなどの感染防止策に努めました。
春日鬼組は、元々両津夷からの教えを受けて昭和6年から始まったもので、徐々に「見せる」鬼へと変化を遂げていったといいます。
本来ならば、今年は春日鬼組の結成90周年という記念すべき年。当初は式典の開催なども検討していましたが、コロナ禍のために断念しました。
ただ、地域の活力になればとの想いもあり回数もわずかながら決行した門付けは、人々に元気を与えていました。
地域の人は「新型コロナの影響で祭りが行われていない他の地域もある。門付けを楽しみにしていたし元気をもらえた」と嬉しそうに話していました。
また、門付けに参加した春日鬼組の子どもたちは「緊張したが練習よりも上手にできた。地域の人がすごく喜んでいてよかった」と話します。
そして門付け最後の場所は、加茂小学校。全校児童からの熱い視線を受けながら、鬼の勇壮な舞が披露されました。
鬼太鼓を心待ちにしていた児童たちからはとにかく大人気で、鳴りやまないほどの歓声が沸き上がりました。
春日鬼組のメンバーは「みなさんの笑顔が見られて楽しい祭りだった。太鼓の音を聞いて出てきてくれるので鬼太鼓が好きなんだなと感じたし、来年以降もますます精進して頑張っていきたい」と嬉しそうに語りました。
ようやく観音堂の前で本体と別班が合流し、すべての鬼が舞を奉納します。威勢の良い掛け声とともに、熱の籠った鬼たちの舞が例大祭の最後を飾りました。
春日鬼組組頭の齋藤博文さんは「250世帯ほどある春日で本格的にいつもの門付けを行うには、今年は移行期にあたる。来年につながるような形で稽古も祭りも実施した」と次回への意欲をみせました。
子どもから大人まで集落が一丸となってつくり上げてきた春日の鬼太鼓。来年こそは門付けが行えることを強く願い、伝統の灯を絶やすまいと太鼓の音が町一帯に響き渡りました。
祭りの様子は動画で記録され、後日動画配信サイトでも視聴できるようにしたほか、今年参加が叶わなかった海外の仲間へも動画が送られるなど、世界のどこにいても祭りの様子が楽しめる工夫がおこんわれました。
佐渡テレビジョン
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