2021年04月15日 09:12更新
ウサギ寺の名でも親しまれ、佐渡市の観光名所のひとつともなっている畑野地区長谷の長谷寺。しかし、シンボルとなっているウサギの多頭飼いによる飼育崩壊が問題となっています。こうした中、世話を手伝っていたボランティアが、8日に現状を知らせる説明会を開催したほか、12日は佐渡保健所が改善を求め指導に入りました。
現在の飼育環境はどうなっているのでしょうか? 説明会の模様や長谷寺の今を取材しました。
先週8日、新穂潟上のトキ交流会館で、長谷寺のウサギの飼育環境改善に関する説明会が、新潟県動物愛護推進員の近藤 陽子さんら2人によっておこなわれました。
近藤さんは、まず経緯について長谷寺を訪れた際に不衛生な環境や過剰な多頭飼育で病気がまん延していたことなど、ウサギの飼育環境に問題を感じ、去年11月から今年の3月までボランティアで改善を図ったと説明しました。
動物を10頭以上飼育する場合は、第二種動物取扱業者の届け出が必要になりますが、当初は小屋の中と外で、およそ35匹のウサギが確認されました。「多頭飼育崩壊」については環境省が先月26日、地方自治体向けに初めて対策ガイドラインを策定するなど規制が進んでいます。
近藤さんたちは、これらの現状を受け、敷地内にあった小屋を掃除し、オスとメスを分けました。また里親を見つけるなどし、ウサギを12匹まで減らしました。3月21日に本人の申し出によりボランティアを終了しましたが、今後も適正飼育を求めていくとしています。
そして12日、佐渡保健所がウサギの数や飼育環境の確認に長谷寺を訪れました。
現在、18匹を島内の小学校や個人に里子に出しているほか、境内にあるふたつの小屋にメスのウサギ11匹がいて、数日中には届け出の必要ない9匹以下まで減らし、適正飼育に努めるとしています。
富田宝元住職は「保健所の指導にすべて従って、小屋なども立て替えた。オスは分けた後、寺に置かないでほかのところに移した」と話します。
2018年に建てられたウサギ観音の周りには、以前はウサギが走りまわっていましたが、今ではその姿が見られません。富田宝元住職は、境内の草取り役をかっていた名物のウサギが少なくなることに不安を抱いています。
「草取りのウサギがいなくなると、草刈りなど高額な管理費がかかる。ウサギにお願いして草を食べてもらっていたが、保健所の規則に従う場合は、柵が必要になったり病気の検査など必要になり対応しきれない。今後は、この寺からウサギがいなくなるんじゃないかなと思う」
ウサギ寺として有名になった長谷寺ですが、今後は訪れる人たちも適正飼育について理解し見守る必要がありそうです。
佐渡テレビジョン
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