2019年03月14日 09:47更新
上越市柿崎区で、子どもたちにふるさとの魅力を伝える絵本ができた。これは地元の商工会青年部が2年がかりで作ったもので、名所や歴史などがわかりやすく紹介されている。絵本を作った背景には、子どもたちに伝えたい青年部の願いがあった。さてその願いとは?
「ぼくの名前はかげいえくん。柿崎のよい所をたくさん教えてあげるよ」。
絵本の主人公、かげいえくんのセリフだ。タイトルは「かげいえくんと夏のゆめ」。子どもたちに柿崎区の魅力を伝えようと、地元の商工会青年部が作った。
柿崎商工会青年部の部長、布施直人さんは「地域の子どもたちが年々少なくなっている。大人になったとき、都会に出る人もいる。小さいうちから柿崎のよさを知ってもらい、大人になったとき柿崎に戻ってきたいと少しでも考えてもらえればと思い作った」と、制作の経緯を明かす。
青年部の部長、布施直人さん
絵本の主人公かげいえくんは、柿崎区ゆかりの戦国武将。上杉謙信の四天王のひとり、柿崎景家がモデルになっている。女の子のはなちゃんは、かげいえくんの幼なじみという設定だ。
物語は女の子が夏休みの宿題で、柿崎のよい所を絵で描こうとするが考えがうかばず悩んでいると、かげいえくんとはなちゃんが現れて柿崎を案内するというもの。
絵本では、上越市と柏崎市の境にある「米山」、米山を水源とし、水道水などに使われる「柿崎川ダム」、サクラの名所「坂田池」、伝統行事「お引き上げ」など11の名所や行事が32ページにわたって紹介されている。
絵本の文章は青年部が考えた。子どもたちに分かりやすくしようと、2年がかりで区内を歩き、取材を重ねた。そのうち、青年部のメンバー自身もあらためて故郷の名所に気づいたという。
青年部の小山啓介さんは「米山は高い所から海が見えるいい所。柿崎川ダムは高い所から海が見える、日本でも数少ない場所」と、取材を振り返る。
柿崎川ダムから望む日本海
青年部の小山啓介さん
また表現の工夫もした。「絵本のターゲットは小学校2年生まで。難しいことばを使って分からないことが多すぎると読んでもらえない。柿崎は野菜や米がたくさん取れる場所で、大人で言えば「柿崎区産の米 野菜」と難しく書くこともできるが、「野菜 魚がとれる」という表現にして、想像力を使ってもらえるようにした」と話す。
イラストは市内在住のイラストレーター、丸山優香さんに依頼した。制作を始めてから2年。製本を前に青年部が地元の保育園を訪れ、絵本の内容を上映。ナレーションは青年部のメンバーが担当した。
園児たちは自分の知っている場所が登場すると、指をさしたり、声をあげたりして喜んでいた。園児は「クジラがしゃべって、楽しかった」「駅は知っている。使ったことがあるから」と話した。
上映を終えた布施さんは「園児の知っている場所が登場すると、反応がよかった。製本になって手に届いたとき、保育園の出来事を家族に話してもらいたい。また絵本を持ち帰って家族で読んでもらいたい」と、絵本が家族の交流のきっかけになることを望んだ。
絵本はこのほど完成し、500部印刷された。区内に住む小学2年生までのすべての子どもに配布される。また区内の図書館、医療機関の待合室などにも置かれる予定だ。
※ご覧の記事の内容は2019年3月13日(水)JCVニュースLiNKで放送(TV111ch) 初回18:30~
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