2018年10月18日 16:00更新
上越市の歯科医、羽尾博嗣さんは毎年フィリピンでこどもたちの歯の治療を行うボランティア「ハローアルソン」に参加している。この活動には地元の高校生も参加しているが、17日今年の参加予定者が事前研修を受けた。
ハローアルソンは、フィリピンのスラム街で歯の治療にあたる歯科医のボランティア団体。羽尾さんは7年前から地元の高校生とともに参加してきた。今年は11人がフィリピンへ入ることになった。参加高校生の一人は「姉が去年参加して、話を聞いていた。最初聞いたときは正直ショックを受けて、助けたいと思った。命の大切さを感じてきたい」と話す。
フィリピン行きは来年2月。17日はそれを前に、5人が事前研修を受けた。羽尾さんによると、スラム街の子どもたちは歯を磨く習慣が無く、歯の悪い子も少なくない。多くの子どもの永久歯は虫歯のままで、そこから菌が繁殖し命を落とす子もいる。羽尾さんは「虫歯で死ぬ現実から一回の施術で解放してあげるには、50年も使う歯、永久歯を12~13歳で抜くこと。」と説明した。
そうした現状を踏まえて、高校生は歯磨きやうがいなど歯の健康維持からを抜かざるを得ないと緊急措置まで、活動全体の流れを学んだ。さらに、羽尾さんは子どもの状態にあわせた対応や治療の意味を考えさせた。抜く治療について羽尾さんは「日本なら治療したあとまた来てねと言えるが、フィリピンではそうはいかない。一回行ったところに次の日も行けるわけではない。だから、抜くしかない。」と話した。生徒は「日本では抜く必要がないけど、フィリピンでは抜く必要がある」のだと驚いていた。
続いて、高校生は現地で子どもたちに教える「ハロアル歯磨き」を練習。これは歯茎まで歯ブラシをあてることで血行を良くし、免疫力を高めるだけでなく、歯垢を落としやすくする効果もあり、現地で推奨されている。生徒は自分の歯に色をつけて実際にどれくらい落ちるのか検証した。
羽尾さんは高校生に「普段は助手がいて手伝ってくれるが、フィリピンでは一人。ピンセットを渡す、ライトを当てるなどどんなに小さいことでも、治療を手伝ってもらうとパフォーマンスがあがり、それが現地の子どもの笑顔に還元される」と高校生の必要性を呼びかけた。
高校生たちはこのあと5回の研修を受けた上、来年2月6日から11日までフィリピンで活動する。
今回参加する高校生の数は去年の倍以上。これは羽尾さんが講演会で参加を呼び掛けるだけでなく、すでに参加した生徒の口コミによる拡散も良い影響を生んでいるということ。
なお、羽尾歯科医院では使い捨て歯ブラシを募集している。一本でも現地の子供達の命を救える。詳しくは羽尾歯科医院まで。
■問合せ:羽尾歯科医院春日山 ℡0120-86-8487
Copyright (C) 2016-2023 上越妙高タウン情報 All rights reserved.