2017年05月10日 18:51更新
少年院や刑務所から出た人たちが再び罪を犯さないために、仕事や住む場所、そして教育を受ける機会を提供する取り組み「職親(しょくしん)プロジェクト」が県内ではじめて上越市安塚区で始まった。
「職親プロジェクト」は、日本財団が、4年前に関西の企業7社とともに始めた社会貢献事業。刑務所の出所者などが企業から住む場所の提供を受け就労体験しながら、社会復帰に向けた教育を受けるもの。
本人の更生だけでなく地域の安全や納税者を増やすことで社会全体にメリットがあるとされている。協力企業は首都圏や関西など大都市を中心に広がり、78社が参加している。
そしてきょう、新たに上越地域などの中小企業11社がこれに加わった。県内では初の取り組みで、職親プロジェクトとしても中山間地域で実施されるのは初めてのケース。
参加を呼びかけたのは、安塚区の農業生産法人えちご棚田文化研究所。担い手が減少している農業や人手不足になりがちな季節労働への就労にむすびつける狙いがある。
計画では、えちご棚田文化研究所が住居を提供して出所者を受け入れ、地域で農作業をしながら自立に向けた生活指導などの教育を行う。そのあと本人の希望や適性などを見たうえで参加企業で働く。
都会と違い通年の雇用が難しい中山間地域だが、参加企業の中には飲食店やスキー場など農業以外の事業所もあり、季節ごとの繁忙期に合わせた就労体験ができる。
えちご棚田文化研究所の岩崎欣一社長は「責任の重さはひしひしと感じているが、気負うことなく、仕事をさせるというより一緒に楽しく仕事をやっていければいい。気楽な気もちで始めたい」と話した。
えちご棚田文化研究所では秋までに2、3人の出所者を受け入れ、事業を本格的にはじめる。今後は、5年間で30人程度の採用を目指す方針。
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